ファーストフードの躍進-今日のフランスの状況を物語る

フランスあれこれ

2023年12月3日付のLe Monde紙に、「Ce que les fast-foods disent de la France」と題した記事が掲載。近年、美食の国フランスにおけるファースト・フードの普及が目まぐるしく、このファースト・フードの拡大は、都市化、郊外の貧困、中所得層の健康悪化、若者による起業など、今日のフランス社会の状況と密接に関係している、と主張。ちなみに、ファーストフードは、la restauration rapideと表現。

記事のポイントは以下の通り。

  • パリ1区のショッピングモールWestfield Forum des Halles内に米国のドーナツチェーン店Krispy Kremeが一号店をオープン
  • 1972年にパリにマクドナルド1号店がオープンして以降、ポケ・ボール、ピザ、タコス、おにぎりなどファーストフードが多様化してきている。専門家は「フランス人は以前にも増して慌ただしくしており、自宅に帰って昼ご飯を食べる余裕がなくなってきている」と指摘。
  • 正確な統計はないものの、マルセイユやナント等の多くの都市部では、ファーストフードの店舗数は既に伝統的なレストランの数を超えている。更には、パリ北部、セーヌ・サン・デニス、ヴァル・ド・マーヌといった低所得地域でも増えている。
  • ファーストフードの普及はフランス人の健康悪化の一因となっており、特にファーストフードをより頻繁に利用する中所得層の家庭の肥満率は高所得層家庭の2倍に到達。
  • 更に、都市の郊外に個人経営のケバブ店やバーガー店が増加してる現象は、貧困化や都市化関係していると専門家が指摘。郊外の商業エリアでは、ファーストフード店以外に手ごろに食事をとれる選択肢がない。また、治安の問題、採算制、資金の面でフランチャイズ候補がいないといった理由から、大手スーパーチェーンは郊外の一部の地域への出店を回避し、その空白を埋めるようにファーストフード店を含む小規模商店の存在感が増している。
  • 一方、こうした状況は、若者が郊外で新たなフードビジネスを始めるチャンスとなっている。その象徴的な事例が、2007年にグルノーブルで創業したO’Tacos。SNSのインフルエンサ―を活用して顧客を集め、今や350店舗を誇る。

この記事の発端となったKrispy Kremeの一号店オープンについては、複数の仏メディアで取り上げられている。

Paris : l’enseigne de donuts Krispy Kreme débarque dans la capitale
La célèbre enseigne américaine devrait arriver à Paris d’ici à la fin de l’année 2023.
À peine arrivée à Paris, l’enseigne de donuts Krispy Kreme s’attire déjà les foudres de la mairie
Souhaitant faire connaître ses produits à quelques jours de l’ouverture de son premier point de vente, l’enseigne a organisé une campagne d’affichage sauvage da...

この記事で取り上げられているO’Tacosが近所にあって気になっていたので、今度行ってみよう。

O'Tacos - O'Tacos

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