改善傾向にあったフランスの失業率が反転!

2023年11月17日付のLe Monde紙で、「Macron au défi de la remontée du chômage」(仮訳:マクロン政権、失業率の悪化に直面)という見出しの記事が掲載。

ポイントは以下の通り。

  • 11月15日付の国立統計経済研究所の発表によれば、直近の四半期のフランスの失業率が7.4%であり、前期から0.2ポイント悪化。実数では、失業者は230万人に上り、前期比で64,000人増加。
  • 年齢別では、18-24歳が最も悪化し、前期比0.7ポイント増の17.6%。25-49歳は0.2ポイント増の6.7%、50歳以上は前期比ままの5.1%であった。
  • これまでマクロン政権下では労働法の改正、年金や生活保護手当の改革を通じて、雇用問題に精力的に取り組んできており、200万人の雇用が創出された。その結果、失業率が順調に低下してきていたが(政権発足後の2017年に9.5% ⇒2023年初期には7.1%)、仏銀行は今後失業率が再び上昇していくとの見通し(2025年に7.8%)を出している。これまでの成果がよかっただけに、今回の失業率の反転が世論に与える影響は大きいとの見方がある。
  • また、マクロン大統領は、2027年までに失業率を生産人口の5%程度に抑え、完全雇用を実現することを公約に掲げており、この公約達成も厳しくなってきている。
  • 経済大臣は、公約達成に向けて、①高騰する住居費の改善、②企業のニーズに沿った職能開発と資格制度の整備、③不就労に対するインセンティブを下げるよう、社会モデルの転換、を優先課題として挙げている。
  • なお、少子高齢化により、新たに労働市場に参入する若者の数が減少傾向にあり、この人口動態のトレンドが失業率の抑制にプラスに働いていく。

フランスに来て少しずつフランスの社会や経済についての理解を深めて行っているが、日本と似たような社会課題を抱える中で、若いマクロン大統領は、批判と失敗に直面しながらも、社会を大きく変えようと奮闘しているという印象を持っている。

ちなみに、欧州主要国の失業率の比較は以下の通り。なお、日本の直近2023年9月の完全失業率は2.6%(参照:統計局ホームページ)。日本は解雇規制が厳しく、企業内の配置転換で調整を図っていることが他の主要国と比して失業率が低い原因とのこと。

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